肩の痛み【腱板断裂】
2017年11月21日
今、スポーツをしていて肩を酷使をしたり、年配の方でもフラついて肩をぶつけてから肩が上がらないといった症状が多くなりました。その中でいた患者様の症状を一つお話させていただきます。
【肩及び上腕部の損傷】
広義の肩関節は、鎖骨、肩甲骨、上腕骨の3個の骨により作られ、これらの骨と胸郭との間に肩関節(肩甲上腕関節)・肩鎖関節・胸鎖関節・肩甲胸郭関節(機能的関節)があり、上肢と体幹を連結し、その安定性は多くの靭帯や筋などによってつくられている。受傷機序は、転倒、墜落して手をつき、その外力が肩関節に作用したり、投球、投てき、懸垂、個々の持つ環境(作業環境、生活環境)・姿勢などさまざまな要因がある。はじめは単関節の症状であっても、肩部の防御的反射、拮抗筋、協力筋などにより他部位に影響を及ぼす。
上腕部では、直達外力により筋が損傷を受けたり、手や肘に受けた外力により筋が急激に伸張されて断裂などをきたし、損傷部に一致した疼痛、腫脹、時には陥凹を触知することもある。筋の損傷は、その筋が関与する運動によって疼痛が増強する。
その中で今日は腱板断裂(けんばんだんれつ)についてお話致します。
■腱板断裂
肩のインナーマッスルは回旋筋腱板(ローテーターカフ)とも言われ、前方から肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つの腱からなり、各々の腱が一体化して上腕骨頭をおおっている。肩関節の外転・外旋・内旋の主動作筋は三角筋や大胸筋など表層の筋であり、腱板の主な作用は上腕骨頭を関節窩に押し付け、安定性をもたらすことにある。この4つの筋は単独または複数で損傷する。とくに棘上筋は解剖学的に損傷を受けやすく、上肢下垂安静時にもストレスを受け、さらに長い間不調和な肩外転運動(労働)を繰り返すと、肩峰下、烏口肩峰靭帯などと触れ合い摩擦して機械的、無菌的炎症による損傷を作り出す(腱板は加齢による退行性変性の進行が早い)
■分類
①完全断裂
②不全断裂(滑液包面断裂・腱内断裂・関節面断裂)
■発生機序
腱板断裂は1回の外力で発生するものと、加齢などによる変性に加え、腱板脆弱部に繰り返しの張力がかかり、変性が進行し断裂に至るものがある。断裂部位は大結節から1.5㎝近位部に多く、この部位は血行に乏しい。また投球動作などのスポーツ障害として不安定性や拘縮をきたすものに棘上筋腱と肩甲下筋腱の間隙、いわゆる腱板疎部に損傷をきたすものもある。
(1)肩部の打撲などによる直達外力により発生する。
(2)手や肘をついて、その際、上腕骨大結節が肩峰に衝突するなどの介達外力により発生す る。
(3)投球、投てきによる使いすぎover useにより発生する。
(4)中高年では1回の外力でなく、使いすぎによって擦り切れるように損傷を起こす。
(5)その他まれにわずかな外力、たとえば電車の吊り革をもっているときの急停車などにより発生する。
■症状
1)疼痛
[受傷時痛]
受傷時に鋭い疼痛を感じ、数時間で軽快するが、その後さらに激痛を発するものが多い。
[運動時痛]
外転60°~120°の間に疼痛を生じることが多い。また、肩関節90°屈曲位で上腕を内外旋することにより疼痛が生じることもある。
[圧痛]
大結節、三角筋前部線維・中部線維に圧痛を認める。
[夜間痛]
就寝中痛みで目が覚めることが多い。
2)陥凹触知
完全断裂では圧痛部に一致して陥凹を触知するものがある。
3)機能障害
屈曲、外転運動に制限がみられる。また、肩関節の外転位が保持できない。
4)筋力低下・脱力感
小断裂のものでは筋力低下を認めないものもあるが、筋委縮の進行に伴い筋力低下も進行する。また、上肢の脱力感を訴えるものがある。
5)筋委縮
陳旧性のものでは筋委縮がみられる。
■治療法
(1)理想的には、損傷された腱部にストレスが加わらない位置で固定されるべき(棘上筋腱であれば外転位)である。軽度の場合、上腕骨頭の関節窩への求心性を回復させることが重要であるので、当院では肩関節の特殊なアプローチや可動域訓練、腱板筋力訓練および肩周囲筋の強化訓練が重要となる。
(2)完全断裂の場合は、安静固定を図るが、陳旧性のものや長期にわたり夜間痛が持続するもの、筋委縮や脱力、さらに拘縮などが出現したものは観血療法の適応となる。
※そこまで動かさない(スポーツなど)人は断裂していても日常生活は過ごせるのでオペをせずに保存療法で治療を受ける方もいます。
当院では、隣駅の南流山駅や、八潮駅。あとは柏など遠いところからも肩の症状で来院される患者様が増えています。もしお身体に不調を感じたらまず、当院にご相談ください。