肩の痛み【上腕二頭筋長頭腱損傷】

2017年11月22日

こんにちわ!渡辺です。前回は肩の痛み【腱板断裂】についてお話しました。

今日は肩から始まる腕の筋肉。一般的に力こぶの筋肉と言われていますが、その筋損傷についてお話致します。これからの寒い時期には知っておきたい知識の一つですね☆

 

【上腕二頭筋長頭腱損傷】

上腕二頭筋は烏口突起に起始する短頭と関節上結節に起始する長頭からなり、橈骨粗面に停止する。上腕二頭筋長頭腱は、肩関節腔内を骨頭上部に沿って走り結節間溝に向かい、結節間溝のトンネルの中を通る。上腕二頭筋長頭腱は結節間溝内で水平方向から垂直方向へと方向を変えるという解剖学的特徴により結節間溝で機械的刺激を受け、摩耗しやすい構造となっていて、腱炎や腱鞘炎、ときには断裂が発生する。40歳以上になると加齢的変化により腱の変性が生じるために、とくに発生頻度が高くなる。

小結節に付着する肩甲下筋腱、およびその表層腱と線維を交え大結節に付く横上腕靭帯が断裂すると、上腕二頭筋長頭腱が小結節を乗り越え脱臼を起こすこともある。

■発生機序

(1)肩関節の外転、外旋運動。仕事やスポーツ活動でこの動作を繰り返すことにより小結節と の摩擦による変性が進み発生する。

(2)重量物の挙上によって上腕二頭筋が腱の張力を越えて収縮したとき。

(3)緊張した上腕二頭筋に対し突然強い伸張力が加わった際に発生する。

■分類

1)結節間溝部での断裂

 非常に多く、腱の変性を伴っているもの多い。腱板損傷に伴うものもある。

2)筋腱移行部での断裂

 若年者の激しい運動の結果、発生することがある。

■症状

断裂部位や断裂の発生機序または完全、部分断裂かによって症状は一定しない。

(1)断裂音とともに激痛を伴い、腫脹と上腕部に皮下出血斑が出現する。

(2)上腕二頭筋の筋腹が遠位に移動し、腫瘤状に膨隆する(両側の力こぶを比較すると患側は腹筋が短縮して小さくなる)。また筋腹の近位に腱性の索状物を触れ、圧痛がある。損傷の初期は、疼痛のため屈曲力、握力が低下し、夜間の疼痛も出現するが、2~3週間経過すると疼痛は軽減し、筋力低下はある程度回復していることが多い。

(3)腱炎や腱鞘炎の場合、結節間溝部に圧痛を認めることが多いが、著名な可動域制限はなく、投球時に上腕二頭筋にそって放散痛を認める。

■治療

症状は時間経過とともに軽減し、機能障害を残すことも少ないが、スポーツ活動や上腕を使用することが多い若年者は観血療法をすすめるべきである。初期は冷罨法、固定、提肘をすることにより運動を制限し、安静を保持する。

当院独自の関節運動療法を取り入れ、疼痛軽減後に可動域訓練や筋力強化訓練をおこなう。

 

こういった症状も当院へご相談ください(^^♪